礼儀としての「悔しがり」

ロンドン五輪が閉幕しました。期待通りに活躍した日本人選手もいれば、残念な結果に終わった選手もいました。
そのなかで、チョット気になったことがひとつ。

日本人選手に限らないことですが、銀メダルや銅メダルで、喜びを爆発させ、「最高に幸せ」的なコメントを発するのは、どうなのでしょうか?

どんな色であれ、オリンピックメダルを獲得するというのは、並大抵の事ではなく、類い希な才能を、血の滲むような努力で磨き上げて初めて成しえる偉業であることは重々承知しています。
しかし、2番3番を目指してやって来たわけではないのですから、「負けても万々歳」というのは、相手(勝者)に対しても、また、勝利を信じて応援してくれた人達に対しても失礼です。
そこにはやはり、“礼儀”としての「悔しがり」が必要です。
3位でも大成功、という状況は十分理解出来ます。しかし、喜びをあらわにし、手を振って声援に応えるのは、表彰式以降にしてほしいものです。試合・レース直後は、謙虚に敗者として振る舞うべきです。
「勝者は敗者に気遣いながら喜びをかみしめ、敗者は勝者を讃えつつ無念さを隠さない」それが美しい試合後の景色だと思います。

「金メダルを獲れずに申し訳ない」と沈痛な面持ちで語り、銅メダル決定後もニコリともしなかった柔道の海老沼選手(66 kg級)。異口同音に、「力は出し切ったので結果には納得しているが、金メダルに届かなかったのは正直悔しい」とレース直後に語り、「銀・銅で十分じゃないか!」と思っていた我々を恥じ入らせてくれた、競泳の松田選手(200Mバタフライ)と入江選手(200M背泳ぎ)。彼らには、金メダリストにも劣らない日本人としての誇りを感じました。本当に格好良かったと思います。

4年後、また、たくさんの美しい日本人選手が見られるのを楽しみにしています。

 

写真は、五輪との関係は微妙な「Z旗」