体育の日に思う

今年は久々に「10/10」の体育の日でした。元々1964年10月10日の東京五輪開催にちなみ、体育の日は毎年この日だったのが、平成10年のハッピーマンデー法とやらにより、10月の第2月曜日に移されられてしまったのでした。

継承すべき日本の歴史と伝統より、たかだかこの数十年を生きているに過ぎない現代人の余暇事情を優先したこの制度には、常々不満を感じていました。今回、同制度により移動した国民の祝日について検討します。

「成人の日」: 満月を基準とした「太古の暦」時代の正月は、その後採用された新月を基準とする「旧暦」の1月15日に相当します。その名残で「新暦」の1月15日を小正月として、地方により様々な行事が行われているようです。月齢や旧暦・新暦の存在を知っておくことは当然大事ですが、成人式の原点である元服式がこの小正月に行われていたという歴史的事実はあまりないようですので、この日を成人の日とする根拠は乏しいようです。

「海の日」: 以前このブログにも書きましたが、東北地方に巡幸された明治天皇が、1876年7月20日、明治丸で無事、横浜港に帰港されたことを起源としているとのことです。こういった、一見さりげない事象を由来とする祝日というのは貴重です。こんなイキな祝日を“なんたらマンデー法”に穢されるのはしゃくですが、明治天皇に関しては、その誕生日が「明治節」(文化の日とも言うらしい)として残っているので、やむなく矛を収めることにします。

「敬老の日」: 聖徳太子や元正天皇に関連した俗説もあるようですが、事実は戦後兵庫県のとある村の村長さんが「としよりの日」として、気候のいい9月15日に敬老会を開いていたのが、徐々に全国に広がったもののようです。
“ハッピーなんたら法“の餌食になった折、当の村長さんにしてみれば、憤慨やる方ない思いだったでしょうが、敬老会本来の目的を考えれば、適応やむなしといったところでしょう。

「体育の日」: 前述の通り、言わずとしれた、東京オリンピックの開催日です(最近では言わずとしれた訳ではないようですが・・・)。オリンピック開催に合わせて、新幹線や高速道路などのインフラや、テレビをはじめとする情報網が一気に整備されたので、日本にとっては、単なる国際スポーツイベントの開催にとどまらず、国際社会での地位向上(回復)を含めて、戦後復興の一区切りとなった国家的大事業でした。
ただ、外国人の視点を考慮すると、オリンピックの開催日を国民の祝日にしているというのは、ちょっと体裁が悪いので、せめて「次の東京オリンピック」も10月10日に開催してほしいものです。

ところで、日本国民の祝日を定める法律が「ハッピーマンデー法」などという軽薄な名称でいいのか!?と思ったら、正式名称は「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」でした・・・ま、当然ですね。

ということで判定。
「国民の祝日に関する改正法」にそぐわないのは、「海の日」「体育の日」「成人の日」「敬老の日」の順です。

 

今日は、半日だけ国旗を掲げました。